2001年12月議会   表紙に戻る

中山豊県議の一般質問(12月10日)
【県下七市の都市基盤整備についての要望】

中山 県下七市の地方都市の活性化は、県政の活性化の上からみて欠かせない。もちろんそれぞれ独自的な課題としてとりくまれるべき性格のものだが、県の立場から強力なしかも計画的な支援策が特に必要と考えられる。県下七市は共通して幹線道路の整備に大変腐心している。具体例を列挙する。
 橋本市は、R371号バイパス、西部地域幹線道路等、主要県道の改築促進。和歌山市は東西、南北の主要道路、中心街への流入交通の円滑化を図る幹線道路。海南市はR370号整備促進はじめR42号、R424号主要県道の拡幅整備。有田市はR42号海南むけての整備、河川整備。御坊市は高速自動車道と中心市街地へのアクセス整備。田辺市は中心市街地の外周道路、上富田南部線、湯川田辺線等の整備等。新宮市は伊佐田王子線拡幅整備、あけぼの広角改良事業促進をはじめとする都市計画道路の整備。
 いずれも市街地へのアクセス整備が遅れている例である。長期的展望をもって七市と県による対策協議会の立ち上げを求める。
 表紙に戻る
【伝統工芸品教育事業について】
中山 平成13年度から新規事業としておこされた児童・生徒に対する伝統工芸品教育事業は、今日的に海南の紀州漆器を再生・興隆させるための大きな支えになるであろう。この施策をテコに再生・興隆させるためには、一つはこの実施要領にもとづいて、業界と行政、なかでも教育行政の主体的とりくみと支援が大きく望まれる。広く多くの人々に認識を深めてもらう課題として、特に教育行政の側からの支援が求められる。
 伝統工芸品教育事業は、伝統工芸士が保持する伝統的技術や技法にふれたりすることにより伝統的工芸品に対する関心を高め、伝統的工芸品の製造にかかわる人材の発掘や確保を図ろうとするものである。紀州漆器は、木地、塗り、蒔絵、沈金と四つの部門からなり、製品まで一人で仕上げることができない仕組みでなりたっている。しかし、広い層の人々に漆を知ってもらうための講習会や児童生徒の体験学習となると蒔絵のみに集中してしまう。漆器とは何たるものかということに迫っていく事業にはなっていないのが現状である。
 後継者は自然発生的にうまれてくるものではない。独自に特別の手だてが必要なのである。来年度予算編成にむけて、特に後継者育成及びそれの養育問題については、たとえば伝統工芸士が、ごく少数でいいからその生徒に集中的、持続的にある一定期間、四部門全て身につけさせる取り組みを、会館などを利用して行政の補助を受けて進めるという事業体制を確立することなどが求められている。
■内田商工労働部長
 県は平成十二年に海南地域の漆器産地活性化計画を策定し、これに基づき漆器組合が行う事業の支援を行 っている。後継者育成については伝統漆器技術者養成事業や漆器組合青年部への実技指導に取り組んでいる。今後とも漆器組合、地元海南市と十分連携を取りつつ県も積極的に支援していきたい。伝統工芸士の活用による工芸品教育事業は、教育委員会とも連携をとりつつ事業 の周知を図る。
           表紙に戻る   
【イノブタについて】
中山 そもそもイノブタとは、在来のイノシシと豚をかけあわせて県畜産課が造ったものである。もしこれがイノブタでなければ、県民の認識を正確にすべきである。これが増殖し都市近郊にまで現われ、農産物・農地を荒らし回るという事態、この異変には行政からの的確な対応が迫られている。先般も担当課は、断固とした態度でイノブタではないと主張した。この機会を通じて人々がいうイノブタでないなら、イノブタでないという具体的理由をよくわかるように述べて頂きたい。不明な点があれば学問的検討もされるべきであるし、イノブタであるなら県が開発した立場からそれへの対処が強く求められるのではないか。
 タイワンザルに続くイノブタ被害で、農業経営は窮地においやられ、農業放棄へとつながりかねない状況である。
 被害状況は、高津の桃がタイワンザルにやられながらも、収穫期を越したところでイノブタに桃畑、なかでも桃の木の根方を掘り返されるため、桃の木が傷み、来年の収穫が見込めないという。和歌山市山東、岡崎では、来春に出て来るはずの地中の筍を掘り起こされ、食われている。来春の収穫は見込めないという。海南市は孟子、野上新、冷水地域にあたっては、甘藷畑から水田が荒らされる。稲はまだ十分結実しない乳状のうちに食われる。甘藷はイモだけを食われる。山間地の飲料水のパイプや取水施設の破壊など、被害は多様である。
 イノシシは本来、山深く生息して海南市東部の山間などに出没することはなかった。イノシシの出没は、山に餌がなくなるという自然環境の劣悪化、または頭数の増殖が原因だとハンターや農業者は言う。しかしここで出現するのはイノシシではなくイノブタである。関係者やハンターたちに聞くと、イノブタは、県農林水産部畜産試験場が養豚農家の経営安定化のため改良開発し、増殖、生産物の品質向上、畜産経営の近代化および普及に努めてきたそうであるが、肉食への嗜好傾向の変化、及びイノシシでないイノブタ肉が求めに合致していなかったため、それにむけ大量飼育した業者がその処置に困り抜いて野に放したとのこと。
 県当局は県内で放したことはないというが、県外にもちだされ、それぞれ逃がしたり放したりしたと言われていること、たとえば猟犬の訓練に使ったイノブタが逃げ出したなどといった県外の事情は全く把握されていないようである。
 イノシシが年一回の出産であるのに対し、イノブタは二,三回、しかも一回の出産数は、イノシシは一,二頭であるが、イノブタは七、八頭。まさに急増の原因はここにあるとみて間違いないのではないか。
■辻農林水産部長 豚はイノシシを改良したもので、イノシシの血液が濃くなるほどイノブタとの判別は難しい。畜産試験場でイノブタの子(雄のイノブタは全て去勢している)    を配布している。近年、農家から豚やイノブタが逃げたり放逐したとの情報はない。
■ 秋月環境生活部長 イノブタの野外での存在の有無、生息状況は現在把握できていない。野生下でのイノブタの存在確認方法についてはイノシシと同種でありDNA鑑定によって 可能かなど技術的な問題もあり、今後の課題である。出没原因としては、耕作放棄地の増加によりイノシシの餌場やぬた場などの生息域が人里近くに増加したこと、シイ、ドングリなどの実を供給する広葉樹林の減少、狩猟者の減少などが考えられる。
中山 猟期外に被害者からの訴えにより、自治体がハンターに要請し、捕獲している。海南では、要請に応えて出動するグループの構成員は少なくとも十名以上は必要である。捕獲したら、市と県が2分の1ずつの補助金1万円を支給するのだが、仕事を休み捕獲しても千円にもならず、また必ず捕獲できると保証もない。ハンターならではの正義感とスリルを体得したいとの考えからだけでは農業被害に対応しきれない。出動するハンターへの補助金について、またハンターの老齢化による新たなハンターの確保についてそれらをどうしていくのか検討すべきではないか。
 猟銃保持については県知事の認可を受けた者だけが保有できる。しかし銃を巧みに操作するための訓練場が県内にはない。イノシシやイノブタを捕獲するための、わなやくくりも資格があるからといってやたらと山に仕掛けられていたために、ハンターが放った猟犬がかかってしまうということも聞く。様々な問題がハンターのとりくみに大きな困難性をもたらしているといわれる。これらの取り組みの見直しを検討すべきである。
■ 秋月環境生活部長 県は今年度から有害駆除事業に対し、市町村補助制度を創設した。今後も状況を踏まえて取り組む。全国的に狩猟者数は減少傾向にある。環境省、大日本猟友会において一般啓発用冊子の作成、狩猟者資格取得手続きの改善対策の検討、狩猟者定着対策の検討等がおこなわれている。県もこれらを踏まえ、今後の対策について検討を進める。
表紙に戻る
【生石高原ススキ草原復元について】
中山 行政主導の保存活動は本年3月末で終了し、民間主導の保全活動がとりくみの基本部分を引き継いだ。その過程で放置されたままのススキ草原は三十年ほど前に比べて三分の一ほどに狭められ、それに伴い生石草原でしか見られない貴重な動植物が絶滅しかねないところにきていることが判明したと、前議会で述べたが、本年十一月十八日のススキ刈りに参加した折、この事態を実際に目にし、まさにその通りであったと実感した。
 この雑木侵入を防ぐには、山焼きを実施することが一番効果的だという認識を市民は共通してもっている。しかし山を取り囲む自然環境や人為的環境がそれを許さない現状がある。山焼きによりススキ原が再現されるための条件を確保するために、県による様々な取り組みが必要である。
 その取り組みへの課題の一つに、高原部分をとりまく周遊道の整備という問題がある。生石高原に多くの人々を招きやすくするために、県道野上生石線の整備を急がれたい。小川の宮の背後、ごく短い区間をはじめ、車の対向困難な箇所は少なくない。
 また、草原周辺の地域は過疎化し、かつて開発された山林農地は放置され、所有者の老齢化に伴って、維持管理に困り抜いている。これらの事情から、地元・地域と話し合い構想をもってあたってはどうか。かつて融資を受けて開発しようとした人々は、返済期限がきて手放さなければならないという。常に人が生活し、行きかよう状態にしておかないと不心得から都市部からゴミ投棄に来て、山林や路肩に積まれるとの話は尽きない。積まれたゴミの処理をめぐって地域住民やその地域の自治体が苦労を強いられる。
 生石高原の家の他にこれと同様の県の施設は3つあり、すべて長をおき、何人かの県の職員を配置し、管理運営にあたっている。生石高原の家の体制も強化されたい。高原の家の運営管理については青少年課になるのか。環境生活部の中にありながら、環境生活総務課と青少年課にまたがっているためか、うまく統一的に機能しているようには見受けられない。教育委員会は青少年育成に関わっておりながら、スポーツ振興に力が入っていないように見受けられる。関係する機関が生石山ススキ原復元をはじめ、総合的な対策協議会を立ち上げるのはどうか。
 これはさらにスポーツの部門からみて、高地トレーニングの適地として利用されることも見込まれてよい環境だ。陸上競技の選手など年間を通じて入れ替わり立ち替わり大学・高校生はもちろん社会人のジョギングコースに利用されれば高原の家の利用に大きくつながるのではないか。
■ 秋月環境生活部長 本年四月ボランティアの方々が「生石山の大草原保存会」を設立。自然観察会や資料展示、すすき刈り取り会などの活動を実施。本年度から地元の一市四町村、民間企業で構成する生石高原観光協会を窓口とし、保全活動に関する経費の一部を補助している。先般のすすき刈り取り会にも職員を派遣するなど、同会と連携協力を行っている。活動への参加呼びかけは、県の広報番組や関係市町の広報紙などにより、協力を行ってきた。
 山焼きは消火用水の確保、民有地の混在など課題があるが、地元市町や保存会とも協議を行い、取り組みたい。県は平成八年、生石高原県立自然公園の計画を見直し、保護計画及び利用計画を策定した。今後もこの計画を踏まえ、関係機関とも連携を図り、適正な利 用を促進する。
 生石高原の家は他施設より小規模であり、利用団体の自主性を重視した施設としている。今後、生石山の自然環境を活かし、いかに利活用できるか検討を進めていきたい。
■ 大山土木部長 特に交通の支障となる箇所に待避所を設置するなどの対策を講じているが、一部事業区間では地権者の協力が得られていない。今後、地元関係者にご協力いただき、地権者に理解を得ていきたい。

 表紙に戻る